ロサンゼルス建築めぐり:住宅編(前半)

LAが世界に誇る美しい住宅建築を特集
Photo courtesy of Stahl House, Facebook

多くの有名人が暮らすロサンゼルスには、世界的に有名な傑作と呼ばれるにふさわしい美しい住宅建築が数多く存在します。今回は世界的に有名な歴史ある住宅建築からモダンなアイコン・ハウスまで、LAのランドマークとして知られる有名住宅を大特集致します。前半後半に分けてお届けしますのでどうぞお楽しみに!

Property of Discover Los Angeles
Eames House | Photo courtesy of gufm, Flickr

EAMES HOUSE

別名 Case Study House No.8としても知られるEames Houseは、ミッド・センチュリー・モダンスタイルのアイコン的建築住宅です。Pacific Palisadesにあるこちらの住宅は、1949年にデザイナーのEames夫妻(Charles&Ray)の自宅兼スタジオとして建てられました。カップルは1949年のクリスマスイブに引っ越し、生涯を終えるまでこの家で過ごしました。現在家を管理しているEames Foudation によりますと、家の中のインテリアや小物などは、Eames夫妻が暮らしていた頃とほぼ変わらない状態で保たれているといいます。Eames Houseは、戦後の建築ブームに先駆けて、雑誌Arts&Arshitectureがスポンサーして行った25軒の建築ケース・スタディの中で、もっとも優れた作品だともいわれています。1988年7月にはロサンゼルス歴史文化材#381に、2006年9月には、アメリカ合衆国国家歴史登録材、そしてアメリカ合衆国歴史建築物に登録されている貴重な文化財です。

Pacific Standard Timeのビデオ作品の中に、ラッパーとしてのキャリアを築く前に建築学を学んだよいうIce Cubeが、Eames Houseを訪れる模様を特集したものがあり、その中でIce Cubeは、「Eames夫妻が最高だと思うのは、もう既に存在するもの(素材)から特別なものを作り上げた点です。」とコメントしています。

そんなEames Houseは一般公開されており、入館料$10ドルを払えば中に入ることができます。1時間のガイド付きパーソナルツアーも行っており、こちらは大人2名で$275ドル、3−4名で$450ドルとなっています。映画ダイハードにも登場しているEames Houseは映画ファンにも人気のスポットです。庭でのピクニック(食事込み)とツアー付きで1−4名で$750ドルというプランもあるので、ハウス内でゆっくり過ごしたいという方は、ぜひこちらのプランをご検討ください。

Property of Discover Los Angeles
Avila Adobe dining room | Photo courtesy of Flannery626, Flickr

AVILA ADOBE

The Avila Adobeは、オリジナルのロケーションに経つ住宅としてはロサンゼルス最古の、歴史的建築物です。カルフォルニアの歴史的ランドマーク#145に制定されています。1818年にJose Avila氏により建てられたAvila Adobeは、Avila氏とその親族たちの住居としてだけではなく、1840年代にはアメリカ軍の司令部としても活用されていました。現在、Avila Adobeの屋内には、ダークウッドを使用したテーブルに四柱式ベッド、燭台に繊細な刺繍が施されたカーペットなど、19世紀スタイルのインテリアが配置され、1840年代のカルフォルニアン・ライフスタイルを忠実に再現した形となっています。ちなみに、Avila Houseの壁には、クレイ(ネンド)に水、藁に似たオーガニック素材でできた、adobe brick (干しれんが)が利用されています。

Property of Discover Los Angeles
Ennis House | Photo by Lindsay Blake

ENNIS HOUSE

Los FelizにあるEnnis Houseは、近代建築の三大巨匠とよばれるFrank Lloyd Wright氏がデザインし、息子のLlyod氏が1924年にCharles & Mabel Ennis夫妻の為に建築した、世界的に有名な住宅建築です。グラミーにノミネートされた経験を持ち、建築マニアとしても知られるミュージシャンのMoby氏は、Ennis Houseを「L.Aで最もアイコン的な住宅建築」だとコメントしています。

Ennis Houseのデザインは、古代マヤ文明の寺院をコンセプトとしているそうで、Wright 氏の代表であるテキスタイルブロックにほどこされた装飾は、メキシコのユカタン州にある古典期後期から後古典期のマヤ文明の遺跡、ウシュマルにある建物からインスピレーションを受けたものなのだそうです。Wright氏の4作目のテキスタイルブロックにして最大の作品であり、27000以上のコンクリートブロックが利用されています。

Ennis Houseは、これまで数多くの映画作品にも登場しています。1番有名なのは、おそらくブレード・ランナーでの登場でしょう。Ennis Houseは、ロサンゼルス歴史文化モニュメント#149、カルフォルニア歴史的ランドマーク#1101に登録されており、アメリカ合衆国国家歴史的登録材にも制定されています。投資家で慈善活動家としても有名なRon Burkle氏が2011年7月にハウスを購入しており、購入の条件として、年に最低12日、ハウスを一般公開することに同意しています。今後は、9月にAIAツアーが行われる予定です。

Property of Discover Los Angeles
Gamble House | Photo Courtesy of D1v1d, Flickr

GAMBLE HOUSE

パサデナにあるThe Gamble Houseは、美術工芸の最高傑作と呼ばれる、歴史ある住宅建築です。The Gamble Houseは、1908年にCharles& Henry Greene氏によって、Procter & Gamble CompanyのGamble 夫妻のためにデザイン、建築されました。現在、ハウスはパサデナ市が保有しており、University of Southern California School(USC) of Architectureが管理しています。USCの5年生である生徒が2人フルタイムで住み込み、家の管理をしています。(住み込みする生徒は毎年変わります)

The Gamble Houseは、Back to the Future シリーズでドック・ブラウンの家として登場していますので、映画ファンの方は改めて作品をチェックしてみてください。ハウスはカルフォルニアの歴史的ランドマーク#871、そしてアメリカ合衆国国家歴史登録材に登録されています。1977年にはアメリカ合衆国歴史的ランドマークにも制定されています。

1時間のガイド付きツアーも開催していて、オンラインで予約できるので興味のある方はぜひお問い合わせください。チケットは大人が$15、シニアと学生が$12.5ドルとなっています。12歳以下のお子さまは無料です。Brown Bag Tuesdaysと呼ばれる火曜日は、ビジターはお弁当をもって来てハウス内で昼食をとることが可能となっています。20分のガイドツアーも$8ドルで体験できるので、ぜひご参加ください!

Property of Discover Los Angeles
Greystone Mansion

GREYSTONE MANSION

Greystone Mansionは、石油王であるEdward L. Doheny氏が、息子のNed Doheny氏に託した広大な土地にたつ、歴史的建築物です。自身の父親から、土地とともに莫大な遺産を受け継いだNed Doheny氏は、遺産の一部である100万ドルをGreystone Mansionの建築に費やしました。Greystone Mansionは、鉄入りのコンクリートにインディアナ製の石灰、 ウェールズ製の粘板岩のスレートを使用し、ゴシックとネオ・クラシカルをミックスしたデザインで建築したこだわりの住宅です。マンションが完成しNed Doheny一家が引っ越してからわずか5ヶ月の時、Ned氏は長年の友人であるHugh Plunket氏に銃で撃たれ、帰らぬ人となってしまいます。以後、家屋売買にあたって大変な時期もありましたが、最終的にビバリーヒルズ(市)が1965年に買い取り、1971年に一般の出入りが自由な公園となりました。

平日の午前10時から午後5時までの間は、どなたでも無料で入園することができるのでぜひこの機会に足を運んでみてください。館内の内覧は要予約となっていますのでご注意を。

Property of Discover Los Angeles
Hale House & Valley Knudsen Garden Residence at Heritage Square Museum | Photo courtesy of sggrant, Flickr

HERITAGE SQUARE MUSEUM

Downtown L.Aの北東に位置するHighland ParkにあるHeritage Square Museumは、南カルフォルニアの開拓から発展に至る初期の100年の歴史を深く学ぶことのできる、生きる歴史館と呼ばれる貴重な住宅建築です。ミュージアムに設置された8つの歴史的建築物は、ヴィクトリア朝時代に建築されました。8つの住宅は、幸運にも解体からまぬがれ、Aroyo Seco沿いにあるミュージアムの敷地内に再建されたのです。Hale Houseに Valley Knudsen House、 John Ford House、Perry Mansion にOctagon Houseなど、歴史的に貴重な住宅が数多く並びます。建物を訪れることで、1861年から1865年にかけて、アメリカ合衆国の北部諸州とアメリカ連合国を称した南部諸州との間で行われた内戦、Civil Warから、20世紀初期にかけての南カルフォルニアの住民の生活そのものを学習することができます。ミュージアムではガイドツアーを随時行っており、さまざまな教育プログラム、エキシビションや特別イベントを開催しています。

ロサンゼルスでランドマークと呼ばれる有名な歴史的住宅をご紹介している今回の特集、いかがでしたか?後半も一度はおとずれたい、魅惑の歴史的住宅が多数登場しますので、最後までどうぞお楽しみに!