L.AのアイコンといわれるTiki-Tiを大特集!

Tiki-Ti | Photo by Adrian Eustaquio

みなさんはTiki barをご存知でしょうか?Tiki bar とは、南太平洋(ハワイ、タヒチ、マオリ、イースター島、等)をテーマにした、カリフォルニア発祥のバーのことです。Loz Feliz と Silver LakeのボーダーのSunset Boulevard沿いにある Tiki-Tiは、L.Aにおいて、Tiki barを代表する、老舗のバーです。12席のみの小さいバーなので、行列ができている事もしばしば。店内には、著名人からのプラカードや光るふぐのランプ(ティキスタイルの必需品です)、ティキランプやティキの世界で巨匠と呼ばれるアーティストの作品などが飾られています。一度足を踏み入れたら、誰もがそのユニークで楽しい雰囲気に魅了されます。今回はそんなTiki-Tiを大特集致します!

Tiki-Tiは、1961年4月28日に、伝説的なバーテンダー、Ray Buhen氏がオープンさせました。Tiki- Tiの敷地は、以前はバイオリンのリペアショップ(Buhen氏の義父が所有していた)だったのだとか。もともとバーテンダーの専門学校を設立したいと考えていたRay Buhen氏でしたが、妻Jerryの説得もあり、バーになったそうです。

Ray and Mike Buhen | Photo by Jim Staub, courtesy of Tiki-Ti
Ray and Mike Buhen | Photo by Jim Staub, courtesy of Tiki-Ti

米国での禁酒法時代(1920-33)以降、Hollywoodではティキスタイルのバーが大人気となり、1つのムーブメントとなりました。Ray Buhen氏はそのムーブメントの生みの親であるといわれるバー、 Don the Beachcomber(元祖)で働く、「Four Boys」と呼ばれる4人の主要バーテンダーの1人でした。Four Boysは4人のフィリピン人で、日夜、秘伝のシロップのレシピを考えたり、フレッシュジュースをしぼったり、氷を削ったりして、新たなカクテルを作る事に集中していました。Tikiスタイルの定番といえるZombieやMissionary`s Downfallは4人が作り出したのです。

Mike Buhen Sr. at Tiki-Ti | Photo by Tom Stratton
Mike Buhen Sr. at Tiki-Ti | Photo by Tom Stratton

「トロピカルなドリンクっていうと、みんなハワイが発祥の地だと思ってしまうんです。でも、違うんですよ。多くのトロピカルカクテルはハリウッドで誕生しているんですよ。」そう話すのは、Ray Buhen氏の息子で、現在Tiki-Tiを自身の息子と一緒に経営している Mike Buhen Sr氏です。

Four Boysは、今日のティキカクテルの歴史を作り出した素晴らしいバーテンダーたちだったわけですが、みな、Don the Beachcomberという店の裏方として名も知られずに働いていました。Ray Buhen氏はその状況に満足できず、自身でバーを開く事にしたのです。Tiki-Tiをオープンする以前に、ハリウッドにSeven seas、ビバリーヒルズにThe Luauをオープンしています。

Tiki-Ti | Photo by Johnny Barajas
Tiki-Ti | Photo by Johnny Barajas

「私の父と母は1961年にTiki-Tiをオープンし、午前11時から午前2時まで、毎日営業していました。」そう語るのは息子のMikeさんです。当時は近場にあったスタジオの社員が、ランチで利用する事が多く、そういった客はビールをメインに頼んでいたといいます。1965年にそのスタジオが無くなると、Ray氏はビールを提供するのをやめ、エキゾチックなカクテルのみを取り扱う様になります。現在もTiki-Tiでは、もちろんビールは販売されていません。ですが、「The Last Beer」とかかれたビールがシェルフに飾られてあり、こちらはかなりの高値がついています。もちろん、ジョークなのですが、いつか本当に購入する人があらわれるかもしれないですよね!

Mike Buhen Jr at Tiki-Ti | Photo by Tom Stratton
Mike Buhen Jr at Tiki-Ti | Photo by Tom Stratton

Tiki-Tiには90種類を超える種類のドリンクメニューが存在します。ラムベースの定番、Mai TaiやNavy Grog、Nui NuiやShark`s Toothはもちろんのこと、オーダーするとゼンマイ式の小さな雄牛がカウンターを走るという、Blood& Sand(他のお客はそれと同時に「Toro!Toro!」と叫びます)という、ユニークなドリンクも存在します。

これまでに、Marlon BrandoにBurt Reynolds、Huell HowserにNicolas Cageをはじめ、多くのセレブが足を運んでいることでも有名です。Nicolas Cageにいたっては、常連客が頼んだ「ガソリン味のカクテル」を最後まで飲み干した、という武勇伝もあるのだとか!
ティキスタイルの人気にかげりが見えた時代も、Tiki-Tiの人気は衰えませんでした。Mike Buhen Jr.は、「ティキバーのオプションはもともと少なかったし、みんな単純に美味しいドリンクを求めていたんだ。」と話します。「80年代は、みんなディスコに踊りにいく前に、ここで酔っぱらっていったんだよ。」笑いながらそう話すのは、Mike Sr. です。

Ray Buhen氏は88歳までバーテンダーとして活躍し、1999年に亡くなりました。現在は息子のMikeさんとMikeさんの2人の息子、そして昨年加わったばかりの家族以外のスタッフ1名で切り盛りしています。忙しい日は、常連が手伝ってくれるそうです。

Toast to Ray with Mike Buhen Sr. at Tiki-Ti | Photo by Tom Stratton
Toast to Ray with Mike Buhen Sr. at Tiki-Ti | Photo by Tom Stratton

前出で、Tiki-Tiでは90種類のカクテルを提供しているとお伝えしましたが、一番の看板メニューとして有名なのが、Ray`s Mistakeという実にユニークなカクテルです。Ray`s Mistakeが生まれたのは1968年。あるお客に頼まれたカクテルを作っていると、誤って間違ったシロップをミックスしてしまった事に気が付いたRay Buhen氏。捨てようと思った矢先、お客が「試してみたい」と言ったので、そのままサーブする事に。結果、カクテルがとても美味しかったので、メニューに加えてしまったそうなのです。毎週水曜日、午後9時のToast to Rayまではスペシャルプライスとなっていますので、ぜひトライしてみてください。Toast to Rayの時間(午後9時)になると、Mike Sr.がベルを鳴らし、お客全員がグラスを上げ(乾杯のポジション)「マスター・ニンジャ!」(Ray Buhen氏のあだな)といって乾杯をします。

L.Aのアイコン、といわれる歴史あるバー、Tiki-ti特集、いかがでしたか?一歩お店に足を踏み入れれば、日頃のストレスも吹き飛んでしまいますよ。トロピカルでハッピーな雰囲気のなか、最高に美味しいカクテルと、楽しい時間をエンジョイしてください!