話題のエキシビション「Pacific Standard Time: LA/LA」を大特集!

Tlacolulokos, "Smile Now, Cry Later," 2017 | Photo courtesy of Central Library

Getty ミュージアムの監修のもと開催されている Pacific Standard Time: LA/LA は、南カリフォルニアにある70以上の文化施設や美術館を巻き込んだ、巨大プロジェクトです。ロサンゼルスからパーム・スプリングス、サンタ・バーバラからサンディエゴまで、様々な地域で、ラテン・アメリカンとラティーノ・アートにフォーカスした、多種多様のエキシビション、イベントが行われています。エキシビションでは、メキシコとロサンゼルスのクリエイティブなコネクションを再確認することができ、訪れた人は感動を覚えることでしょう。オアハカの壁画から、メキシコシティー在住の日系人の歴史まで、多くのことを学ぶことができるのも魅力です。今回は、現在開催中(これから開催予定ものも)のメキシコ(&ラテンアート)に関連したエキシビション9選を大特集いたします!

Property of Discover Los Angeles
Tlacolulokos, "Smile Now, Cry Later," 2017 | Photo courtesy of Central Library

VISUALIZING LANGUAGE - CENTRAL LIBRARY (THROUGH JAN. 31, 2018)

ダウンタウン L.Aの Central Library (中央図書館)で現在開催中の「Visualizing Language:Oaxaca in L.A」は、活気溢れるオアハカ・コミュニティーを通して、ロサンゼルスに根付く豊かなメキシコの社会構造を再確認することのできるエキシビションです。中でも、メキシコとロサンゼルスで大半を閉めると言われる、Zapotec コミュニティーを特別にフィーチャーしています。オアハカのアーティストたちで結成されている Tlacolulokos は、今回のエキシビションのために、Central Library の象徴とも言われる円形広間の部分に、特別な壁画を製作しています。こちらの壁画は、メキシコ、ロサンゼルスのこれまでの歴史と接点、メキシコ住民の移住と政治社会学的な環境がこれまでどのように影響し、唯一無二の伝統的な文化を作り上げてきたか、といった点をアートで表現した、圧巻の作品となっています。

Property of Discover Los Angeles
Erica Kaminishi, “Prunusplastus” | Photo courtesy of JANM, Facebook

TRANSPACIFIC BORDERLANDS - JANM (THROUGH FEB. 25, 2018)

現在 Little Tokyo にある Japanese American National Museum で開催中の「Transpacific Borderlands: The Art of Japanese Diaspora in Lima, Los Angeles, Mexico City, and São Paulo」は、ラテンアメリカ、または南カリフォルニアにあるラテンアメリカン・コミュニティーを拠点に生活している日系人アーティストの歴史(体験や経験)を、作品を通して学ぶことのできる貴重なエキシビションです。展示会では、リマ、ロサンゼルス、メキシコ、サンパウロで活躍する17人の日系人アーティスト(現代アートの)にスポットをあて、ラテンアメリカン・アートがどのように構築されているのかを詳しく紹介しています。また、これまでのラテンアートの歴史において、日系人たちがどのような形で影響を与えてきたのか、ということも学ぶことができます。移住することや、日系人であるということはどういう事なのか、ラテンアメリカン、またはラティーノであるという事はどういうことなのか、といった深い部分のテーマにも触れています。

100 N. CENTRAL AVE.
LOS ANGELES, CA 90012

Property of Discover Los Angeles
Painted in Mexico - LACMA (Nov. 19, 2017 - March 18, 2018)

PAINTED IN MEXICO - LACMA (NOV. 19, 2017 - MARCH 18, 2018)

Painted in Mexico, 1700–1790: Pinxit Mexici は、18世紀にメキシコで描かれた絵画を中心に展示している、非常に珍しい展示会です。絵画の歴史において、18世紀のメキシコは、新たなスタイルの確立、そして図像の発明が盛んに行われた、とても華やかな時代でした。今回のエキシビションでは、100点以上の作品が展示されており、これまでにないスケール、そして企画(18世紀のメキシカンアートにフォーカスしているという点で)に、大きな注目を集めています。エキシビションは、11月19日から来年2018年の3月18日まで行われます。

5905 WILSHIRE BLVD.
LOS ANGELES, CA 90036

Property of Discover Los Angeles
Ana Serrano, "Cartonlandia," 2008. (detail) | Photo courtesy of Craft & Folk Art Museum, Facebook

THE US-MEXICO BORDER - CRAFT & FOLK ART MUSEUM (THROUGH JAN. 07, 2018)

Miracle Mile の Museum Row(美術館通り)にある Craft & Folk Art Museum (CAFAM)は、1965年以来、地域住民に愛され続けている歴史ある美術館です。年間を通し様々なエキシビションを開催しており、大きな美術館などでは取り上げられる機会の少ないアーティストの作品や、最先端のクラフトワーク、アート、デザインを展示、紹介しています。CAFAM では現在、The US-Mexico Border: Place, Imagination, and Possibility(2018年1月まで)が開催されています。1990年以来、USとメキシコの境界線エリアは、移民、移住、労働環境、ハイブリッド・アイデンティティー(ハーフをはじめとする混種)と変化を語る上で、大変重要な場所として位置付けられてきました。 The US-Mexico Border: Place, Imagination, and Possibility では、新進気鋭の現代アーティストたちによる、境界線をテーマにした奥の深い作品が展示されています。味わい深い作品の一つ一つを、じっくりとご鑑賞ください。

5814 WILSHIRE BLVD.
LOS ANGELES, CA 90036

Property of Discover Los Angeles
Jaime Muñoz, "Fin ," 2011. Acrylic on panel, 36 x 48 in. Photo: Christopher Allen. © 2017, Jaime Muñoz | Photo courtesy of PST: LA/LA

HOW TO READ EL PATO PASCUA - MAK CENTER AT SCHINDLER HOUSE (THROUGH JAN. 14, 2018)

1941年、Walt Disney をはじめとする18名のアーティストたち(芸術家、音楽家、脚本家)は、第二次世界大戦中、政府が実行していた「善隣友好政策」の一部として製作されることになった「3人の騎士」や他のアニメーションのインスピレーションを求めて、南アメリカに旅をしました。のちに作られた作品たちは、中南米出身のラテンアメリカンの人々がディズニーに対し、その後頻繁に抗議をすることになるという長く、複雑な歴史の幕開けとなったのでした。

West Hollywood の MAK Center と California State University Los AngelesのLuckman Gallery とのジョイント・エキシビション、「How to Read El Pato Pascual: Disney’s Latin America and Latin America’s Disney 」では、48銘の物ラテン・アメリカンアーティストによる、150以上の作品を展示しています。ラテンアメリカとディズニーとの関わりが、そのように文化的影響を与えて(与え合って)きたのか、作品を通して学びとることができます。

835 N. KINGS RD.
WEST HOLLYWOOD, CA 90069

Property of Discover Los Angeles
"Octopus Frontlet," 300–600, Moche culture; gold, chrysocolla, shells. Museo de la Nación, Lima, Peru, MN-14602. Ministerio de Cultura del Perú | Courtesy of "Golden Kingdoms" at the Getty Center

GOLDEN KINGDOMS - GETTY CENTER (THROUGH JAN. 28, 2018)

現在 Getty Canter で公開中の Golden Kingdoms:Luxury and Legacy in the Ancient Americas は、300点以上の世界的なマスターピース(芸術の最高傑作)を展示した話題のエキシビションです。Golden Kingdoms では、1000BC からヨーロッパ人がアメリカにやってきた16世紀初期ごろまでのアメリカで発見されたラグジュアリー感溢れる豪華なアート作品をフィーチャーしています。最近では、これらの作品が作られた当時の歴史的背景、文化的、また政治的要素を詳しく調査していて、それらの環境がコミュニティー全般としての物質的思考、ラグジュアリーに対する考え、ビジュアルアートの表現にどのように影響してきたのかが、だんだんと明らかになってきました。展示会では、こうした深い部分も、作品を通して学びとることができます。

1200 GETTY CENTER DR.
LOS ANGELES, CA 90049

Property of Discover Los Angeles
Tina Modotti, "Anita Brenner," c. 1926. Gelatin silver print, 3-3/4” x 2-3/4”. Courtesy of the Witliff Collections, Texas State University.

ANOTHER PROMISED LAND: ANITA BRENNER’S MEXICO - SKIRBALL CULTURAL CENTER (THROUGH FEB. 25, 2018)

Skirball Cultral Center は、ユダヤ教の伝統に基づいた、世界で最も大きいユダヤ系の文化センターであり、L.A を代表する文化施設(イベント会場)です。施設では、アメリカの象徴と言える「自由と平等」の理念をとても大切にしていて、ユダヤ教でなくとも、誰でも入場することができるようになっています。

施設で現在開催中の「Another Promised Land: Anita Brenner’s Mexico」は、アメリカ出身のユダヤ人作家 Anita Brenner (1905−1974)の人生、そして作品を通し、アートとビジュアルカルチャーの視点から見る、メキシコとアメリカとの関係を深く学ぶことのできる展示会です。1920年代、Brennerさんは、メキシコのモダニスト(現代主義者)の代表的存在でした。メキシコのアート、文化、歴史を、アメリカ人たちに広めた、歴史上、とても重要なポジションを担っていた人物です。ぜひこの機会に、Brenner さんの作品を間近で鑑賞してみてくださいね!

2701 N. SEPULVEDA BLVD.
LOS ANGELES, CA 90049

Property of Discover Los Angeles
Laura Aguilar: Show and Tell - Vincent Price Art Museum (through Feb. 10, 2018)

LAURA AGUILAR: SHOW AND TELL - VINCENT PRICE ART MUSEUM (THROUGH FEB. 10, 2018)

East L.A College にある The Vincent price Art Museum は、エキシビション、芸術的解釈やコレクションの表示、展示、そして様々な形のビジュアルアーツを保管することを通して、カレッジに通う学生、そしてコミュニティーの、教育資源センターとなっているユニークな美術館です。

現在開催中の「Laura Aguilar: Show and Tell」は、世界的に有名な写真家、Laura Aguilar(ローラ・アギラール)の回顧展で、30年以上にわたる活動の中で生まれた作品の中から、130点をピックアップし、展示してます。展示されている写真やビデオは政治的メッセージのあるものから、とてもパーソナルなものまで、幅広いのが特徴です。フェミニストを象徴するものや、アギラールさん自身のポートレイト、家族や友人、LGBTやラテンコミュニティーをテーマにした作品も公開されています。

1301 AVENIDA CESAR CHAVEZ
MONTEREY PARK, CA 91754

Property of Discover Los Angeles
Leopoldo Méndez, "Fusilamiento," 1950. Linoleum cut, 16x20 in. LACMA, Gift of Jules and Gloria Heller. Artwork © Leopoldo Méndez Estate / Artists Rights Society (ARS), New York / SOMAAP, Mexico City. | Photo © Museum Associates/LACMA, courtesy of USC PAM

WINDS FROM FUSANG - USC PACIFIC ASIA MUSEUM (DEC. 08, 2017 - JUNE 10, 2018)

パサデナにある USC Paciic Asia Museum は、アートと文化を通して、アジアと太平洋の島々をはじめとする異文化の理解を深めようというミッションのもと創立した美術館です。現在、耐震補強の工事のため美術館は閉館となっていますが、12月8日に、「Winds from Fusang:Mexico and China in the Twentieth Century」と題された展示会とともに、大々的に再オープンします。こちらのエキシビションは、メキシカン・アートとメキシカン・アーティストたちが、20世紀の中国アート市場において、どのように影響してきたか、ということを作品を通して学べる内容となっています。このような内容のエキシビションは、これまで開催されたことがなく、多くの人の期待が寄せられています。

46 N. LOS ROBLES AVE.
PASADENA, CA 91101

南カリフォルニアにある70以上の文化施設や美術館を巻き込んだ、巨大プロジェクト「Pacific Standard Time: LA/LA」の関連エキシビションをご紹介してきた今回の特集、いかがでしたか?どのエキシビションも、とても面白く、アートを通して歴史的背景を学べる貴重な展示会となっているので、この機会にぜひ、ご紹介した美術館に足を運んでみてくださいね!