ルート66〜その足取りとロマン〜 オートリー・ナショナル・センターにて開催中

写真提供:Daniel Djang
enlarge photo [+]

「アメリカのメイン・ストリート」「母なる道」とも呼ばれ、アメリカのみならず世界的にも有名なルート66。1926年11月に創設され、シカゴからサンタモニカまでの計2,448マイル(約4000キロ)もの道のりをつなぐルート66はアメリカの発展の象徴といっても過言ではないでしょう。大ヒット小説The Grapes of Wrath(邦題:怒りの葡萄)の舞台となったり、同名のジャズ・スタンダードがあることからも、ルート66がアメリカ史においてどれくらい重要な存在かがうかがえます。

そんなルート66の歴史を辿る展示会、『Route 66: The Road and the Romance(ルート66〜その足取りとロマン〜)』が来年1月までオートリー・ナショナル・センターにて開催しています。ルート66がアメリカと共に歩んだ歴史を象徴する文化的遺物を250点以上展示しており、大恐慌時代にはじまり、観光名所となった詠歌の時代、そしてその衰退から廃線までの道のりを辿る展示会です。

今回はそんな『Route 66: The Road and the Romance(ルート66〜その足取りとロマン〜)』でも絶対に見逃せない展示物をいくつかご紹介します。

THE ROOTS OF THE ROUTE

写真提供:Daniel Djang

まずはルート66が創設された当時のアメリカの交通変革を象徴する『THE ROOTS OF THE ROUTE(ルート66のルーツ)』。人々の主要交通機関が鉄道から自動車へと移行していくにつれ、その変革を象徴するように全米各地にガソリンスタンドやモーテル、国道沿いの立て看板などが次々と建ちました。このセクションにはその変わりゆく当時の風景を描写したトマス・ハート・ベントン作の「Boomtown」(1928)やルート66沿いを賑わせた立て看板、3メートル以上もあるTexaco社のガスポンプ、T型4気筒シリンダーエンジンなどが展示されています。

“THE GRAPES OF WRATH”

写真提供:Daniel Djang

次のセクション、『The Mother Road(母なる道)』では大恐慌時代の切迫した生活や、よりよい生活を求めてルート66を渡った人々の足取りを辿ります。The Mother Roadでは当時の生活を物語るような絵画や写真を数多く展示しています。

ピューリッツァー賞を受賞したジョン・スタインベックの不朽の名作『The Grapes of Wrath(邦題:怒りの葡萄)』はまさにそんな時代を、仕事を求めてオクラホマからカリフォルニアへ移住するジョード一家の物語を通して巧みに描写しています。ここにはそんな『怒りの葡萄』の原本の一部が展示されており、またこの作品中でルート66のことを『The Mother Road(母なる道)』と呼んだことからこの愛称が広まったのだそうです。

WOODY GUTHRIE

写真提供:Daniel Djang

ルート66を渡った多く旅人の一人がのちにボブ・ディランなどの大スターに多大な影響を与えた伝説的フォークシンガー、ウディ・ガスリーです。1936年にテキサスからカリフォルニアまでヒッチハイクで渡った彼が書いた曲の多くは、このルート66沿いを放浪している時に目の当たりにした実際の経験に基づいているそうです。これらの曲のほとんどが1940年にリリースされた彼の最大のヒットアルバム『Dust Bowl Ballad(ダストボウルバラード)』に収録されており、同盤は未だに名作として多くの人々に愛されています。このセクションではウディ・ガスリーが実際に使ったギター、マーティンが展示されており、また彼直筆の歌詞メモやスケッチ、またダストボウルバラードに収録されている曲もここで聴けます。

ANOTHER ROADSIDE ATTRACTION

写真提供:Museum of Neon Art

ANOTHER ROADSIDE ATTRACTIONではルート66の絶頂期の賑わいを楽しむことができます。第二次世界大戦以降の経済発展によりアメリカは経済黄金期を迎えていました。それに伴いルート66の交通量は日増しに増え続け、ロサンゼルスへのバカンスを目的とした観光産業を中心に大きく栄えました。

このセクションでは当時の活気に溢れる広告やWestern Motelのネオンサイン、フィリップス66のガスポンプなどが展示されています。また当時の時代背景を如実に表すアメリカ原住民を使った差別的な土産や、Bloody 66(血ぬられた66)と呼ばれた危険地域での事故の記事なども見ることができます。

“(GET YOUR KICKS ON) ROUTE 66”

写真提供:Daniel Djang

ボビー・トゥループ作曲のジャズ・スタンダード、『(Get Your Kicks On) Route 66』をナット・キング・コールがレコードとして発売したことにより、ルート66はアメリカ人にとって不滅の存在となりました。この曲はトゥループがペンシルバニアからカリフォルニアまでの道中に思いついたと言われており、その旅路に彼が持っていったアメリカの地図がここに展示してあります。この曲のリリースによりルート66での旅行は社会現象となり、同名のテレビドラマまで登場しました。また同曲はこれまでに数多くのアーティストによってカバーされ、そのうち120曲を収録したジュークボックスもここにあります。

“ON THE ROAD” SCROLL

写真提供:Christie’s

1950年代から60年代にかけてアメリカの文学界を席巻した通称「ビート・ジェネレーション」の作家たちも当時の多くの若者たちと同様、ルート66に夢を抱いて長い放浪の旅をしたそうです。ジャック・ケルアックの代表作で、のちにヒッピーたちの愛読書となり狂信的なファンを生んだ『On the Road(路上)』はルート66を舞台に作者の自由への渇望を描いており、その小説の36メートル以上にも及ぶ原本のロールをここで展示しています。

“CARS”

写真提供:Pixar Animation Studios

『ルート66〜その足取りとロマン〜』の最終地点となる『End of the Trail』では、1956年にはじまった高速道路の建設と、航空旅行の発展によるルート66の衰退に関する展示がされています。その他にもフロリダにできたウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートやラスベガスなど、ルート66以外での観光地の発展も影響したと言われています。

ルート66の衰退は2006年に日本でも上映された『Cars(カーズ)』にも描かれています。このセクションの一角では、映画の企画段階で制作スタッフが取材時に撮った写真やスケッチ、ストーリーボードなどが展示されています。作中に登場する人気のキャラクター、メーターは制作スタッフが実際にルート66を走っている時に目撃したInternational Harvester L-170がモデルとなっているそうです。

“END OF THE TRAIL”

C H Ogawa Photography, Flickr

終着点では国立公園局などの団体の努力によって1999年に始動した『ルート66保存プロジェクト』の一環として保管・復刻されたルート66の現存する遺跡を見ることができます。また来館者の皆さんはルート66の思い出などをポストカードに書いてルート66の地図に置いていくこともできます。

MORNING JOW AND THE MOTHER ROAD

写真提供:Daniel Djang

オートリー・ナショナル・センターではこの展示会に合わせて数々の関連プログラムを用意しています。週末の午前9時から11時まではMorning Joe and the Mother Roadと称し、地元のクラシックカー・クラブの協力のもと、ルート66とともに歴史を彩ってきたクラシックカーをセンター内の駐車場で展示するイベントを開催しています。今年7月13日のイベントではコルベットクラブの会員たちがご自慢のコルベットを持ち寄り、ルート66を疾走した古きよき時代の思い出話に花を咲かせていたそうです。