ダウンタウンLAのブロードウェイにある歴史的シアターを散策しよう(見に行こう)!(前編)

Los Angeles Theatre,Facebook

ダウンタウンにあるSouth Broadwayの3rdストリートから9thストリートまで、6ブロックに渡って広がるBroadway Theatre District(ブロードウェイ・シアター地区)は、1910年から1931年の間に立てられた、12の映画館がある、由緒ある地域です。1979年5月にアメリカ合衆国国家歴史登録材(NRHP)に登録されたBroadway Theater Districtは、一番最初に登録された、一番大きな敷地を誇る登録材であることが知られています。また、アメリカ国内で、最も映画館が集中するエリアとしても有名です。

地区の人気がピークだった第二次世界大戦前、Broadway Theatre Districtは世界で最もたくさん映画館が集まる場所として有名でした。2006年にロサンゼルス・タイムスが掲載した記事によると、合わせて15000人は収容できると言われた映画館では、ハリウッド最新作のプレミア上映が行われ、話題作品をいち早く上映し、どこも毎晩満席だったといいます。

 

第二次世界大戦後、老朽化していたシアターもLos Angeles Conservancy、Bringing Back Broadway、Broadway Theatre Group 、Los Angeles Historic Theatre Foundationなどの協力により、ほとんどが改築・復元され、現在では当時と変わらない外観を保っています。これからは、新たなジェネレーションが、過去からの財産ともいえる素晴らしいシアターで、コンサートや文化的イベント、ライブを楽しむ時代です!今回はロサンゼルスがほこるボロードウェイ・シアター地区で是非ともチェックしておきたい最高のシアター/映画館を2回に分けて一挙ご紹介します!!

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THE THEATRE AT ACE HOTEL

 Broadwayと9thが交わる場所にあるAce Hotel Downtown LosAngelesは、1927年にUnited Artists Building として建てられました。有名建築家、C.Howard Crane氏の手掛けた13階建てのビルは、スペインに実在するセゴビア・カテドラルをモデルに作られたスペインゴシックスタイルのデザインで、建設当初から話題を集めていました。チャーリー・チャプリン、マリー・ピックフォード、D.Wグリフィスといったそうそうたるメンバーが創設したThe United Artists Theatreは、United Artistsが誇る最大のシアターといわれ、多くの人を魅了しました。3階まで広がる、1600人収容可能といわれる客席を誇るシアター内には、初期の映画業界を描いた壁画がフィーチャーされていて、天井には無数のクリスタルがきらきらと輝く、なんともゴージャスな作りとなっています。

UA Theatreは、今ではThe Theatre at Ace Hotelとして知られ、現在でも新旧含め様々な映画を上映しています。Sundance Institute、CinespiaやLos Angeles Conservancyの『Last Remaining Seats』といった年間を通して行われるイベントと提携し、多くの映画ファンが足を運んでいるのだとか。コンサートやダンスのライブ、スタンドアップコメディー、朗読会なども頻繁に開催されていて、人気があります。毎晩何かしらエンターテインメントを観賞することができるので、宿泊しているゲストにとっては嬉しい限り!オープン当初、シアターと一緒に建てられたボックスオフィスは現在「Moon Juice」というジューススタンドになっています。Ace Hotelに宿泊しているゲストには無料で届けてくれるサービスもあり、好評を得ています。

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ORPHEUM THEATRE

 

1926年2月15日にオープンしたOrpheun Theatreは、開館当初から名だたるパフォーマーたちをホストしてきたことで知られる、由緒あるシアターです。バーレスク・クイーンとして有名だったSally Randや、Marx Brothers、Will Rogersに若き頃のJudy Garland、コメディアンJack BennyにElla Fitzgeraldと、数々の名エンターテイナーがこの場所でライブをしてきました。1960年代には、ロックンロール・コンサートを開催し、Little RichardやAretha Franklin、幼きStevie Wonderなどが出演しました。年数とともに老朽化していたシアターは改築され、現在もコンサート会場として様々なアーティストのライブを提供しています。映画のロケ地としても有名で、Barton Finkや、Last Action Hero、Ed Wood、The Artistといった作品に登場しているんですよ!Orpheum THeatreは、Palace Theatre、The Wiltern Theatre、 El Capitan に Shrine Auditoriumをデザインした建築家、G. Albert Lansbergによるもので、視覚芸術品の研究と創造をテーマにした、ボーザール様式を取り入れています。Mighty Wurlitzer organと呼ばれるシアター内のオルガンは世界的にも有名で、南カルフォルニアで残っている3つのパプオルガンのうちの一つです。

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THE LOS ANGELES THEATRE

1911年から1931年の間、Broadwayにはゴージャスな内装を施した、Movie Place(映画御殿)と呼ばれるきらびやかなシアターがいくつも誕生しました。そんな中、一番最後に建てられ、最も豪華だと注目をあびたのがこちら、The Los Angeles Theatreです。2000人収容可能というシアター内は、ベルサイユ宮殿の一部をモチーフにし、フレンチ・バロックスタイルのインテリアを取り入れたラグジュアリー感満載の作りで統一されました。クリスタルのシャンデリアから大理石、金の葉が織り込まれたシルクのダマスク織りの壁紙に、クリスタルと大理石でできた噴水と、建築するにあたっての投資はいとわなかったようです。メインロビーの天井は高さ50フィート(約15メートル)にあり、その開放感のある空間にはシャンデリアと大階段が設置されています。メインロビーとベースメントラウンジの両方で、次の上映時間までを待つ最高2000人を収納可能です。

ロサンゼルス・シアターでは、当時最先端といわれたプロジェクション技術、サウンドシステム、ライティングを導入していて、話題となりました。レストランや子供の遊び場、軽食を食べられるスペースにソーダ・ファウンテン、乳幼児専用の部屋、ビルトインライター付きの喫煙所など、シアター以外の施設も充実しており、多くの人を魅了していました。

ロサンゼルス・シアターは1931年、1月30日、チャーリーチャップリンの傑作、City Lightsのプレミア上映とともにオープンしました。難航していた建設過程をみてプレミアに間に合う様にと、チャプリンがシアターの建設費を少し出資した、という逸話も残されています。なんとプレミアナイトのスペシャルゲストはアルバート・アインシュタインと妻のエルサさんだったそうですよ!ロサンゼルス・シアターは1979年5月に、アメリカ合衆国国家歴史登録材に登録され、同年8月にはロサンゼルスの歴史的文化財#225として認定されました。

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TOWER THEATRE

 

1927年10月12日にオープンしたTower Theatreは、世界的に有名な建築家S.Charles Lee氏によって建てられたシアターです。Lee氏はLos Angeles TheatreにBruin Theatre (Westwood)、Fox Wilshire Theatre (現在ビバリーヒルズにある Saban Theatre)、そして Hollywood Museumが入っているMax Factor Buildingなどを手掛けた建築業界の重鎮です。Lee氏いわく、Tower Theatreは、『Modified French Renaissance』(モダン化したフレンチ・ルネッサンス)をコンセプトにしたデザインで、フランス、スペイン、ムアー、イタリアンの要素を取り入れているそうです。Tower Theatreは、ロサンゼルスで一番最初に音響設備を取り入れたシアターとしても知られています。1927年10月5日、映画業界で初めてシンクロナイズした対話が取り入れられた「The Jazz Singer」という映画のプレビューが上映され話題を集めました。次の日の6日にはサイレント・フィルムの時代の終わりを告げる様にニューヨークのWarner シアターで当時革新的といわれたミュージカルが初上演され、徐々に「talkies」がブームになっていったのです。Towee Theatreは、1989年8月にロサンゼルス歴史的文化財#450として登録されています。