オートリー国立センターでアートに触れよう!〜「カウフマンコレクション」を含む新たなコレクションを見に行こう!〜

写真提供:Billy Schenck

現在(2017年7月9日まで)、オートリー国立センターでは『New Acquisitions Featuring the Kaufman Collection』と題して、60ほどのアートワークを特別に展示しています。ハイライトは、この展示会を開催するきっかけとなった、カウフマン夫妻がコレクションした49の絵画や彫刻です。『New Acquisitions Featuring the Kaufman Collection』は、オートリー国立センターのアートコレクションの繁栄を象徴している展示会だとの声もあり、多くの人の注目を集めています。銅像から人物画、リトグラフに水彩画と、幅広いジャンルの芸術作品を間近で見ることができ、個々の作品からはアメリカ西部ならではのダイナミックさを感じ取ることができます。

 

作品のみからは伝わらない部分を補い、一つのアートワークを完成させる重要な要素として、個々の作品の横には説明文(キャプション)が書いてあります。より一層作品を楽しむには、こちらのキャプションも一緒に読むことをおすすめします。キャプションの説明文には、社会的、文化的、そして政治的な部分のことも掘り下げて解説してあるので、西部開拓時代や西部の人々の歴史、原住民(インディアン)の歴史、インディアンアーティストたちの葛藤や、作品が誕生した当時、作者の抱えていた複雑な思惑などを、芸術を通して深く学ぶことができますよ。

Property of Discover Los Angeles
写真提供:Loretta and Victor Kaufman

THE ULTIMATE ICON

The Ultimate Iconと題された、展示会の最初のセクションでは、ウェスタンの原型、いわゆる「カウボーイ」に関連した作品がディスプレイされています。19世紀後半に発達し、多くの人を魅了したウェスタンの文化、ライフスタイルも、現実にはグラマラスとは言えなかったそうで、そういった働くカウボーイたちの生活を、アートワークを通して詳細に綴っています。Frederi RemingtonのRattlesnakeはぜひチェックしておきたい作品です。Harry Jacksonや、Herb Migneryといった、ここ最近のアーティストの作品と並んで展示されています。実物大の馬を車のパーツで作った、Doug Owenによる作品も、皮肉な部分が面白い作品として話題をよんでいます。他にも、今の時代のカウボーイを描いた絵画作品やロデオ・ライダーをテーマにした、コンテンポラリーな作品が展示されています。

Property of Discover Los Angeles
写真提供: the Jackie and Gene Autry Art Collection

OURSELVES AND OTHERS

「Ourselves and Others」と題されたセクションでは原住民ーインディアンにスポットをあてた作品を展示しています。インディアンのアーティストの作品もあれば、そうでないアーティストの作品もあります。白人が初めてインディアンと接触した時の様子を作品にした、19世紀の作家、George Catlinのリトグラフ(版画の一種・平版画)は、Roy Andersonを含め、多くのアーティストに影響を与えたといわれています。Tammy Garciaによる銅像、Sacagawea II(1980)や、コントラストとして展示されているTammy Garciaによる彫刻、Andrea (2014)、Arlo NaminghaによるThe Guardian(2004)など、興味深い作品が並びます。モダニズムとネイティブな要素を掛け合わせた面白い作品も多く、Preston Singletaryによるraven transformation mask、Deborah Clashinによるa ceramic、Jeremy Freyによるa basketといった作品は、一見の価値ありです!

Property of Discover Los Angeles
写真提供:James R. Parks

PEOPLE AND PLACE

エキシビションのファイナル・セクションを飾るのは「People and Place」と題された、Southwestに対する特別な思いのある作品や、Southwestに関連したテーマで描かれた作品が展示されているコーナーです。20世紀前半、多くのアーティストは、1000年以上継続して定住された、北部ティワ語を話すネイティブアメリカン、プエブロ部族の古代の集落であるタオス・プエブロ(Taos Pueblo)に魅了され、足を運んだといいます。現代文化におかされていない、神聖な場所として、多くの人が特別な敬意をはらった場所でもあるといいます。 20世紀前半の米国の絵、Ashcan Schoolを代表するRobert Henriも実際にニューメキシコに足を運んだそうで、展示されているGregorita(1917)は、その時に描かれたものだと言われています。Southwestの土地と風景には、現代アートを代表する作家、画家たちも魅了されているといい、David Einsteinの水彩画やBilly SchenckのA RIver Runs through it(2011)などはその代表と言えるでしょう。影響を与えた一定の「場所」をテーマにすることで、こういった作品の多くは、西部やネイティブ・アメリカンの歴史を改めて認識させる、重要な役割りを持っていると言えるのではないでしょうか。

Property of Discover Los Angeles
写真提供:The Autry,Facebook

COLLECTIONS SPOTLIGHT (OCT. 22, 2015)

 

2015年10月22日(木曜日)、館長のAmy Scottさんが、メンバーズ・オンリーの展示会スペシャルツアーを行うと発表されました。Scottさんが熟知する、オートリー国立センターのアートコレクションの詳細や、今回の展示会に至るまでのプロセスなどを、詳しく解説してくれる予定です。6時からワインと軽食が頂けるレセプションが行われ、6時45分からツアーがスタートするそうです。詳しい情報はメール、または電話でお問い合わせください。