LAマラソン体験レポート2011

モニターランナー: 鈴木勝利さん

昨年12月、駒沢競技場で行われたLAマラソン親善RUNに家族全員で参加。双子の子供たちが小学生女子の部で1位・2位(実際は同着であるが)を獲得し、喜んでいた矢先、LAマラソンの抽選会(ジャンケン大会)が行われ、こうした抽選会には、全く縁のない私が、何と奇跡的に勝ち抜き、LAマラソンへの切符をゲット!!

今年に入ってからも、正月の箱根駅伝生観戦(東洋大柏原君を生で観る!)に始まり、1月川崎新春マラソン(30km)、湘南マラソン(フル)、2月青梅マラソン(30km)、東京マラソン(フル)と、まさにマラソン三昧!LAに向け、とにかくケガだけは気をつけようと調整してきた。いつもは、手元の時計でペースを確認しながら走るのだが、エンタテインメントの街であるLAでタイムを目指して走るのは、もったいないということで、それよりも街や人の魅力を、体全体で存分に感じ、楽しみながら走ってやろうと心に決めていた。

そして、出発約1週間前の東日本大震災に触れないわけにはいかないだろう。LAマラソンへの参加自体も一瞬、見合わせなくてはならないかもしれないと思うほど、過去経験したことのない状況であり、様々な思いが頭の中を駆け巡ったが、せっかくのチャンスとばかり、思い切って参加することにした。


LA到着当日、ドジャー・スタジアムでのEXPOに参加。小学4年生の時から「週刊ベースボール」を愛読しているほど野球好きである私には、感動的なシチュエーションであり、自ずとテンションは上がるものの、行きの飛行機で一睡もできず、時差ボケMAX状態と、体調は絶不調…明日本当に完走できるのかどうか、不安がよぎるが、クリール編集部サイトウさんの「別に歩いてもいいんだよ」との一言で、何となく落ち着く。今回、宿泊しているラックス ホテル サンセット ブールバードは、LAの隠れ家的なシチュエーションにあり、ゴージャスな雰囲気ながらも大き過ぎない、ちょうどよい規模のホテル。日本語を流暢に喋るスタッフもおり、リラックスして過ごすことができた。


そして、大会当日。興奮と緊張のせいか、AM2時に目が覚め、ホテルの窓から外を見ると雨。天気予報では、何と“WINTER STORM”の文字が(涙)・・・1年365日中350日は晴れていると言われるLA。当然、LAのイメージで、思い浮かべるのは、“青い空と照りつける太陽”。まさに、そんな中を颯爽と走るイメージでいたのだが、どうやら、違った展開になりそうだと感じた。


スタート地点のドジャー・スタジアム周辺の道路が激混みで、到着したのがスタート1分前と慌ただしかったが、何のことはない、そこはおおらかなアメリカン・スタイル。スタート時間が変更され、約25分遅れでのスタート。スタート前から、ノリの良いDJが煽りまくりで、会場の雰囲気も最高潮、必然的に自身のモチベーションもアップ!そして、スタート・ラインを越えた瞬間、上がり気味だった雨がまた落ちてきた。走っている途中も雨が弱くなることはあっても、止む気配は全くない。雷が鳴り出すと、周りのランナー全員誰ともなく“Whooo~!!”の大合唱。もちろん、雨脚が強まると、その瞬間全員が“Whooo~!!”。普通なら、気分が萎えてしまいそうになるのだが、逆境をも楽しんでしまおうという彼らのスタイルに合わせ、気が付けば自分も一緒に叫んでおり、気持ちを明るく切り替えることができた。日本の大会では、なかなかない光景であり、まさに海外の大会ならではだろう。また、今回背中に “STAND UP FOR JAPAN”とメッセージを付けて走ったのだが、途中数十人のランナーや沿道から「WE LOVE JAPAN!」など声をかけられるなど、沢山の人たちから力をもらった。もちろん、JAPANのメッセージを付けているランナーには私からも、背中を叩いて「ジャパ~ン!」とメッセージを送りながら走った。


さて、レース展開であるが、写真を撮りながら走ろうかと思いきや、撮ったのは最初の数枚。カメラが壊れてしまいそうなほど強い雨のため、写真撮影は止め、とりあえず最後まで走りきることに集中。(というか、さすがにコース上で写真を撮っているランナーは、ほとんど見かけなかった)コースも平坦な箇所がないのでは?と思うほど微妙に上っているか、下っているかであり、後半にかけて脚に効いてくる意外とタフなコース。さらに、普段雨が少ないため、治水が良くないせいか、一部コース上が川のように水が溢れ、幾度となくその中に足を突っ込み、シューズもどっぷりと水に浸かるバッド・コンディション。今までになく、心が折れそうになるが、アカデミー賞のレッド・カーペットでお馴染みチャイニーズ・シアターの前や、80年代ロック好きには、たまらないクラブであるウィスキー・ア・ゴーゴー、大手レコード・レーベルであるキャピトル・レコード本社ビルなどLAのみならず、世界のエンタメ業界の中心地を、自分が走っているというシチュエーションを思い浮かべるだけで、不思議と苦しさも和らいだ。LAという街のパワーそうさせてくれるのであろう。やはり、コース・ロケーションは重要だ。


そして、何と言っても悪天候にもかかわらず、本当に多くの人たちやボランティアの方々が応援してくれており、日本人街の和太鼓や、ゲイのチア・ガール!?、ずぶ濡れのバンド演奏、沿道のハイタッチ、ゴール直前のヤクルト!など十分過ぎるくらい力をもらった。
ゴール直前のサンタモニカ・ビーチでの直線では、海岸線ならではの強い風雨がこれでもかと容赦なく吹きつけ、最後の最後まで苦しめられたレースであったが、結局ネット・タイム4時間8分でゴール。


ゴール後、あのノリのいい屈強そうな外人たちが毛布にくるまって、ガタガタと震えているシーンが非常に印象的であった。それほど、タフなレースであり、一生忘れることのできない思い出となった。次回、機会があれば、晴天のLAマラソンを体験してみたいと思う。また、新たな発見があるに違いない。


もちろん、マラソン翌日には、UCLA見学、NORTON SIMON MUSEUMでの絵画鑑賞、ROCKREATIONでのロック・クライミング、ユニバーサル・スタジオ観光などなど…。存分にLAを堪能したのは言うまでもない。