L.A.のアイコン的レストラン Musso&Frank Grill を大特集!

Photo courtesy of Musso & Frank Grill

100年近い歴史があるMusso&Frank Grillは、L.A.でアイコン的なレストランとして愛される老舗の名店です。今回はMusoo&Frank GrilのCOO、CFO兼オーナー のMark Echeverria 氏にレストランの歴史をじっくりと伺いました。

 

ハリウッド黄金時代は、チャーリー・チャップリンが仲間と頻繁に訪れていたことでも有名なMusso&Grill。チャップリンたちは、Hollywood Boulevardを馬にのり、毎回店まで競争していたといいます。ちなみに、支払いは負けた人がしていたそうです。一行は、店内で唯一、外を見ながら食べることのできる窓付きの一画にすわり、外においた馬たちを見ながら食事をしていました。Echeverria氏いわく、今でもその一画はチャーリー・チャップリンの席、と呼ばれているそうで、1番リクエストの多い席なのだそうです。

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Photo courtesy of Musso & Frank Grill

 

Musso & Frank Grillは1919年にJoseph Musso氏とFrank Toulet氏 がオープンしました。オープン当初に比べると、現在ではまわりの雰囲気もかなり変わったといわれています。まずHollywood Boulevardですが、現在は競馬は禁止となっています。ですので馬はいませんが、大音量でヒット曲をかけながら走行する車が目立ちます。サイドウォークにはストリートパフォーマーがいて、お土産などの雑貨を販売する出店がならんでいます。Musso& Frankは、時代の変化や流行に流されず、98年間、昔と変わらないスタイルでずっと営業を続けてきました。店内に入ると、L.A.ではめずらしく、ダークなウッドを使用したアンティーク風のイスがならんでいます。バーテンダーはかっちりとした赤のジャケットを着ていて、入店と同時にどことなくタイムスリップしたような気分になる方もいるでしょう。

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The New Room | Photo courtesy of Musso & Frank Grill,Facebook

 

驚くことに、店内の内装だけでなくメニューさえも98年間大幅に変更したことはないといいます。「ほんの少し、変更はしたんですよ。1919年から始まった初代のレシピは現代の人たちの味覚には少しものたりないんです。」そう話すオーナーのEcheverria氏。Musso & Frankの現在のシェフはJ.P.Amateau氏ですが、およそ100年の歴史の中で、レシピを変えたのはAmateau氏が3人目だそうです。Echeverria氏いわく、J.P. Amateau氏はとても素晴らしいアプローチでメニューに変化をくわえてくれたのだそうです。

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Grenadine of Beef at Musso & Frank Grill | Photo courtesy of West Coast Prime Meats

ステーキハウスであるMusso & Frankの看板メニューといえば、「フィレ・ミニョン」(テンダーロインの端から取った高級ヒレ肉)です。アメリカ南西部で見られるメスキートという名の木が材料の薪やチップを利用したメスキートグリルのオープンファイアで調理された肉は最高に美味しいと定評があります。もう一品人気の高いメニューは、1920年代前半から提供している Grenadine of Beefです。Echverria氏によると40年以上通い続けている常連の中にはなんとGrenadine Beef しか頼んだことがない、というお客さんもいるのだそうですよ。

 

またカクテルメニューではマルティーニがとても有名です。氷とサイドカー(ブランデー・リキュール・レモンジュースのカクテル)と一緒にサーブされるユニークなマルティーニは、GQ紙により「20 Best Cocktails in America(アメリカで最高のカクテル20選)」に選ばれたこともあるおすすめの一杯です。

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Counter seats in the Old Room | Photo by Tina Whatcott, courtesy of Musso & Frank Grill

 

ノース・カルフォルニア(カルフォルニア北部)で育ったEcheverria氏は、子供の頃から毎月一回当時祖母が経営していたMusso& Frankを訪れていました。2009年に日常的に店を手伝う様になり、今まで気が付かなかった様ざまな点に驚いたといいます。「ほとんどのお客様はロサンゼルス在住で、またそのほとんどがローカルであり、常連客だったんです。観光客はほとんどいなく、お店自体も観光客向けにビジネスを展開していなかった。ある意味ショックを受けたのを覚えています。観光客は、ここに来たくないというわけではないと思うのです。ただ、ローカルの常連客が多いので席を見つけるのが難しいのです。通常、火曜日、水曜日、そして木曜日であれば、数日前に予約していただければ席を用意することが可能です。他の曜日は数週間前の予約をおすすめします。」

ホリデーシーズンは満席になることが多く、席を予約するのは難しいかもしれません。バレンタインデーは2ヶ月前に予約満席となったそうです。いずれにせよ、早めの予約が好ましいようですね。

Musso & Frank Grillはハリウッドの黄金期を代表するスターたちに愛された名店です。その当時は知られていませんでしたが、マリリン・モンローにハンフリーボガート、F.Scott FitzgeraldにCharles Bukowskiなどがあしげく通っていたといいます。Echeverria氏は、過去のことを楽しそうに語りましたが、現在、どのようなセレブが店を訪れているのかについては決して語りませんでした。個人のプライバシーを守るという点も、著名人に愛される鍵なのかもしれませんね。

Echeverria氏はこう話します。「我々はローカルの人たちをセレブやスターと同じ様に、またセレブやスターはローカルの人たちと同じ様に接し、おもてなししています。」Echverria氏は数年前、レストランに50年勤続したというウェイターと話をした際、「どの客が1番印象に残っているか?(好きだったか)」、という質問をしたそうです。すると、「今まで1000人以上のお客様にサーブしてきたと思いますが、すべてのお客様が私にとってスペシャルでした。」と答えたそうです。

誰でも特別な気分にさせてくれるMusso & Frank Grill。ぜひこの機会に歴史のつまった老舗の名店で、素晴らしい料理と最高級のおもてなしをご堪能ください!