L.Aのアイコン、Clifton`s Cafeteria特集!

写真提供:Clifton’s Cafeteria,Facebook

1935年にClifton`sの2号店として、当時Clifton`s Brookdaleという名で出店したClifton`s Cafeteriaは、アメリカでは大変有名なレストラン経営者のClifford Clinton氏が創設した、テーマ・レストランとして長きにわたり愛されている老舗レストランです。敬虔なクリスチャンであったClinton 氏は、1929年に大恐慌が全米をおそった時はひどく心を痛め、貧しくて満足に食べれない人々や弱いものに対しては深い慈悲の念を抱いていたといいます。そういった人々に無償で食料を提供したClinton氏は、そうすることで自分のレストランを「希望の光」の象徴として見ていたそうです。『Dine Free Unless Delighted』(喜んで無料で食べてください)という看板に誘われる様に、ピークでは何と一日10000人以上の人がレストランに訪れたといいます。Salisburyステーキにスライスターキー、マッシュポテト、マカロニ&チーズ、Jelly-O、といったシンプルなメニューが、多くの人々に愛されたのです。

Property of Discover Los Angeles
写真提供:Clifton’s Cafeteria,Facebook

サイドウォークと鋼鉄の並ぶ無機質な空間だったダウンタウンエリアの一角に、ウッドランドのユートピアともいえるような魅力的な空間が完成した当時は、かなりの話題となりました。店内には美しい風景の壁画が設置され、所々に動物が飾られ、小川が流れていました。極めつけは20フット(6メートル強)あるという人口岩に設置された滝でしょう。ウォールト・ディズニーが作った実物大のジオラマのようだ、という人もいるほど、訪れるもの全てを魅了する、ワンダーランドだったです。まさに当時のロサンゼルスでは類を見ない、特別なレストランだったのです。

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写真提供:Los Angeles Theatre,Facebook

1930年代、ダウンタウンエリアはビジネスとソーシャル、両シーンにおいて中心的エリアとして注目されていました。美しい建物の一角には街で一番の権力があるといわれた銀行が入り、パトロンのついたムービーパレスではブロックバスターとよばれる大ヒット映画を上映し、常に活気で満ちていました。Olvera StreetやAngels Flight、Pershing Squareといったエリアが主要エリアとして賑わう中、Clifton`sもダウンタウンエリアの人気スポットとして、エリア全体の活性化に貢献しました。スタイリッシュなウッドランド・ユートピアは観光客、ローカル問わず、多くの人から愛されたのです。

第二次世界大戦後、景気の悪化と共にダウンタウンエリアは荒れていきました。また、犯罪が多くなったことで、多くの居住者が都市郊外に移り住む様になりました。1980年には、30年代の輝かしい日々がウソの様に、静かなエリアへと変わっていったのです。そんな中でも、Clifton`sはあえてダウンタウンに残り、営業を続けました。頻繁に訪れる常連客や、何世代にも渡って家族できてくれるファンが多かったのです。しかしながら、Clifton氏が1969年にこの世を去り、2006年には当時栄えたCliftonチェーンもClifton`s on Broadway1店舗となってしまいました。

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写真提供:The Edison,Facebook

経営的に困難な状況にありながらも、何とか営業を続けましたが、経営不振となり、ついに2010年、ビジネスマンでナイトクラブなどを経営するAndrew Meieran氏にレストランを売却しました。90年代後半、ロサンゼルス市がダウンタウンエリアの歴史的建築物を新たな用途でレノベーションするのを後押しする姿勢をとり始めたのですが、その動きにいち早く注目したのがMeieran氏でした。Meier氏は2000年、1910年に建てられた発電所の跡地にThe Edisonというスタイリッシュなバーをオープンさせ、成功させていることでも知られています。

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写真提供:Stephen Russo

4年間の休業期間(レノベーション期間)と1400万ドルのオーバーホール(完全レノベーション)を経て、10月1日、Clifton`s Cafeはめでたく再オープンしました。オリジナルの要素も生かしつつ、新たな魅力も加わり、バージョンアップしたカフェは、今後人気スポットとして多くの人を魅了すること間違いなしです。

 2012年、50年近く建物にかけられていたメタルケージがはずれ、多くの人の期待度を上げたことも記憶に新しいですが、店内地下にはShadowbox speakeasyとよばれるバーが、Ground Floorには24時間オープンのカフェテリア、The Mill Bakeryというなのベーカリーが入っています。カフェテリアでは高級溢れるデリのイメージで、Catalinaバイソンのパティーといった高級メニューやWaldorfサラダといった伝統的なメニューを楽しむことができます。The Mill Bakeryに隣接したギフトショップでは、ワインやチョコレート、デーツといったカルフォルニア産の品物をゲットすることができます。

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写真提供:Los Angeles Conservancy

レストラン2階にはMonarch Barがあり、クラフトビール、ソーダにフロートといった人気メニューを提供しています。子供用のミニチュアチャペルもぜひチェックしておきたいおすすめポイントです。2階のアトリウムの中心にはMeieran氏のこだわりで建物に穴をあける形で配置した、40フット(12メートル強)あるという人工のRedwood tree(セコイアメスギ)があり、訪れるものを圧倒します。木のベースはMonarch Barの近くにあり、上方でのびている木の枝は建物を支える様に設計されているのだそうです。

 

3階はGothic Bar(ゴシックバー)となっています。Gothic Barという名は、Sci-fi(サイエンスフィクション)のライターとして著名で、オリジナルのClifton`sのパトロンとしても知られるRay Bradbury氏にちなんでつけられたのだそうです。19世紀、ゴシック調に統一された店内で、敏腕バーテンによるオリジナルカクテルを楽しむことができます。3階にはClinton Hallという宴会場もあり、プライベートなイベントなどで使用できる様になっています。Natural History Museumの力を借りて設置されたという剥製のジオラマは一見の価値ありです!

4階は現在も改築中で、年末までにステーキハウスとバーが2店舗オープンする予定とのことで、そのうち1店舗は、ハワイのTikiをテーマにしたお店になるそうです。

新たにオープンしたClifton`sでは、free meal(無料の食事)は提供していないですが、貧しい人たちに分け与えるというClinton氏の遺志は引き継がれており、お会計の際に、寄附をすることができる様になっています。オリジナルのClifton`sの良いところを残しつつ、バーがあり、子供が遊べる場所があり、おちついたレストランがあり、プライベートパーティーができるスペースがあり、というマルチ・ストーリー(高層の)プレイグランドとなった、アトラクションたっぷりの新生Clifton`s Cafe、ぜひとも訪れたい今、LAで最もホットなスポットです!!